2018.11.30
近年では、日本国内でも真夏の気温が観測史上最高気温を記録するなど、高温化が著しくなっています。オフィスだけでなく一般住宅でも、「贅沢」だという印象のあったエアコンが次々と設置されるようになり、真夏では多くの家庭がエアコンを使用して室温を下げています。
しかし、室温を下げるための方法というのは、何もエアコンだけに限りません。というのも、住宅の外壁に断熱素材の建材を使用することで、温度上昇を抑え、室温を低く保つことが可能なのです。そのような用途で使用されるのが「断熱セラミック」と呼ばれるものです。
この記事では、その「断熱セラミック」とはどういうものであるのか、種類や特徴について解説をしていきます。すでにエアコンを使用している家庭であっても、両者を併用することで得られる効果は大きいので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
断熱セラミックとは、用途からつけられた名前です。もともとは「セラミックファイバー」と呼ばれ、「アルミナ」と「シリカ」と呼ばれる物質を使用した繊維素材です。
この断熱セラミックは、塗布するための塗料として生成されるほか、そのまま断熱シートの形や板状の形で製品となっている場合があります。前者の塗料として使われる場合には、日進産業の「ガイナ」が代表的な製品です。
断熱セラミックの特徴といえば、まずその極めて高い耐火・耐熱性能です。従来の耐火・耐熱設備といえば、耐火レンガ・耐熱レンガと呼ばれる素材が選択されてきましたが、住宅などの素材として使われる際に重視されるのはその「熱伝導率」、つまり、与えられた熱をどの程度室内やその他の場所に伝導させてしまうかという点です。
耐熱セラミックをこの従来の耐火・耐熱素材である、耐火レンガ・耐熱レンガと比較した場合、熱伝導率で比較すると耐火レンガの10分の1、耐熱レンガの2分の1と、熱量が外へ放出されることを大きく抑制できる素材であることがわかります。
耐熱セラミックの耐熱温度としては、製品によって差異があるものの、おおむね1,000℃から1,500℃という高温であるため、一般用の住宅だけでなく、工業製品を生産する工場や窯業炉などの極めて高温になる箇所にも使用されていることから、耐熱セラミックの性能について伺い知ることができます。
このほか、排気ダクトや発電所外壁、焼却炉外壁などにも使用されており、「耐熱温度が比較的高い」というような、従来のロックウール・グラスウールなどの断熱材(耐熱温度450℃~600℃)と比較しても、飛び抜けた性能があるということがいえます。
こうした、「高い耐熱温度・断熱性能」を持つ耐熱セラミックですが、それでは実際に住宅などの建造物で使われる際にはどのような効果を得られるのでしょうか。
住宅などでは、建物やその外壁そのものの温度が上昇していたとしても、多くの場合問題にはなりません。むしろ問題点としては、その中で生活している人間のほうに、その熱が伝わってしまい、室温が高いと感じることが問題であるといえます。
住宅ではとくに、多くの時間を住んでいる人が過ごすことから、快適な室温の維持というのは非常に重要であるといえます。しかし多くの場合、居住している人の側でできることは、せいぜいエアコンを稼働させて室温を保つという程度のことです。また冬場の場合には暖房設備に頼ることになるでしょう。結果的に、これらの設備を稼働させる時間が長くなったり、一日中つけっぱなしにしなければならなくなり、居住者の電気代負担が大きくなることはもとより、それらの排熱によって環境負荷も高くなることは明らかです。
しかし、断熱セラミックを建材に使用することで、夏場は外気温の室内の温度への影響を最小限に留めることができます。というのも、夏場は外からの外気温を防ぐだけでなく、冬場は室温を外に逃さないという効果があるため、断熱セラミックを建物に利用することには意味があるといえるわけです。
これは、室内のエアコンによって変化させた温度に対して、壁の表面温度がすぐに反応することがその理由です。冷房によって下げられた室温に追従して、壁の表面温度がすぐに下がり、暖房の場合には壁の表面温度がすぐに上がるという仕組みです。
またそれだけではなく、最近の断熱セラミックでは、熱だけでなく遮音・防音、防臭、防露などの効果も持っているものが主流となっています。
熱を室内に伝えない、熱を外気に奪われないことに加え、防音や防露、臭い防止など、様々なメリットのある耐熱セラミックですが、もちろんデメリットもあります。
まず断熱セラミックはセラミック配合の塗料となるのですが、まず塗膜が固いため割れやすいというデメリットがあります。割れるというのはもちろん地震などによる衝撃で割れるというケースもあるのですが、経年劣化によってひび割れ(クラック)が発生することがあります。もちろん、クラックやセラミックの割れを発見したときには、すみやかに修理をする必要があるといえるでしょう。
次に、主成分がセラミックであることを理由として、色の自由度が制限されるということがあります。これはセラミックの結晶が白色であることに由来するのですが、濃い色となると色が出にくくなるということがデメリットです。淡い色が中心となる外壁であれば問題ないのですが、濃い色を出したいという場合には、このセラミックでは実現しにくいということを知っておく必要があるでしょう。
次に、施工業者が手慣れていない可能性についても考慮しなければなりません。セラミック塗料、断熱セラミックの塗装はまだ普及率では他の外壁材に譲るため、施工業者があまりセラミック塗料について手慣れていないケースがあります。セラミック塗料は、通常の塗料と異なり塗る前に充分な撹拌が必要となるのですが、施工業者がこのことを充分に把握していない場合、適切な塗布ができなくなるため、手慣れていない業者の場合にはリスクが高くなるといえるでしょう。
これらのデメリットについても、耐熱セラミックを用いる際に注意しておく必要があるでしょう。
断熱セラミック・耐熱セラミックについてと、その効果、そして断熱セラミックを用いる際に注意するべきポイントについて解説をしました。エアコンを用いることそのものは悪いことではありませんが、その一方で、こうした断熱素材を使うことで、温度変化を抑えることができます。耐熱セラミックを用いようと考えているオーナーさんは、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。
しかし、室温を下げるための方法というのは、何もエアコンだけに限りません。というのも、住宅の外壁に断熱素材の建材を使用することで、温度上昇を抑え、室温を低く保つことが可能なのです。そのような用途で使用されるのが「断熱セラミック」と呼ばれるものです。
この記事では、その「断熱セラミック」とはどういうものであるのか、種類や特徴について解説をしていきます。すでにエアコンを使用している家庭であっても、両者を併用することで得られる効果は大きいので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
断熱セラミックとはいったい何か?
断熱セラミックとは、用途からつけられた名前です。もともとは「セラミックファイバー」と呼ばれ、「アルミナ」と「シリカ」と呼ばれる物質を使用した繊維素材です。
この断熱セラミックは、塗布するための塗料として生成されるほか、そのまま断熱シートの形や板状の形で製品となっている場合があります。前者の塗料として使われる場合には、日進産業の「ガイナ」が代表的な製品です。
断熱セラミックの特徴といえば、まずその極めて高い耐火・耐熱性能です。従来の耐火・耐熱設備といえば、耐火レンガ・耐熱レンガと呼ばれる素材が選択されてきましたが、住宅などの素材として使われる際に重視されるのはその「熱伝導率」、つまり、与えられた熱をどの程度室内やその他の場所に伝導させてしまうかという点です。
耐熱セラミックをこの従来の耐火・耐熱素材である、耐火レンガ・耐熱レンガと比較した場合、熱伝導率で比較すると耐火レンガの10分の1、耐熱レンガの2分の1と、熱量が外へ放出されることを大きく抑制できる素材であることがわかります。
耐熱セラミックの耐熱温度としては、製品によって差異があるものの、おおむね1,000℃から1,500℃という高温であるため、一般用の住宅だけでなく、工業製品を生産する工場や窯業炉などの極めて高温になる箇所にも使用されていることから、耐熱セラミックの性能について伺い知ることができます。
このほか、排気ダクトや発電所外壁、焼却炉外壁などにも使用されており、「耐熱温度が比較的高い」というような、従来のロックウール・グラスウールなどの断熱材(耐熱温度450℃~600℃)と比較しても、飛び抜けた性能があるということがいえます。
断熱セラミックを使うことで得られる効果とは?
こうした、「高い耐熱温度・断熱性能」を持つ耐熱セラミックですが、それでは実際に住宅などの建造物で使われる際にはどのような効果を得られるのでしょうか。
住宅などでは、建物やその外壁そのものの温度が上昇していたとしても、多くの場合問題にはなりません。むしろ問題点としては、その中で生活している人間のほうに、その熱が伝わってしまい、室温が高いと感じることが問題であるといえます。
住宅ではとくに、多くの時間を住んでいる人が過ごすことから、快適な室温の維持というのは非常に重要であるといえます。しかし多くの場合、居住している人の側でできることは、せいぜいエアコンを稼働させて室温を保つという程度のことです。また冬場の場合には暖房設備に頼ることになるでしょう。結果的に、これらの設備を稼働させる時間が長くなったり、一日中つけっぱなしにしなければならなくなり、居住者の電気代負担が大きくなることはもとより、それらの排熱によって環境負荷も高くなることは明らかです。
しかし、断熱セラミックを建材に使用することで、夏場は外気温の室内の温度への影響を最小限に留めることができます。というのも、夏場は外からの外気温を防ぐだけでなく、冬場は室温を外に逃さないという効果があるため、断熱セラミックを建物に利用することには意味があるといえるわけです。
これは、室内のエアコンによって変化させた温度に対して、壁の表面温度がすぐに反応することがその理由です。冷房によって下げられた室温に追従して、壁の表面温度がすぐに下がり、暖房の場合には壁の表面温度がすぐに上がるという仕組みです。
またそれだけではなく、最近の断熱セラミックでは、熱だけでなく遮音・防音、防臭、防露などの効果も持っているものが主流となっています。
断熱セラミックを使用する際に注意するべきポイントとは?
熱を室内に伝えない、熱を外気に奪われないことに加え、防音や防露、臭い防止など、様々なメリットのある耐熱セラミックですが、もちろんデメリットもあります。
まず断熱セラミックはセラミック配合の塗料となるのですが、まず塗膜が固いため割れやすいというデメリットがあります。割れるというのはもちろん地震などによる衝撃で割れるというケースもあるのですが、経年劣化によってひび割れ(クラック)が発生することがあります。もちろん、クラックやセラミックの割れを発見したときには、すみやかに修理をする必要があるといえるでしょう。
次に、主成分がセラミックであることを理由として、色の自由度が制限されるということがあります。これはセラミックの結晶が白色であることに由来するのですが、濃い色となると色が出にくくなるということがデメリットです。淡い色が中心となる外壁であれば問題ないのですが、濃い色を出したいという場合には、このセラミックでは実現しにくいということを知っておく必要があるでしょう。
次に、施工業者が手慣れていない可能性についても考慮しなければなりません。セラミック塗料、断熱セラミックの塗装はまだ普及率では他の外壁材に譲るため、施工業者があまりセラミック塗料について手慣れていないケースがあります。セラミック塗料は、通常の塗料と異なり塗る前に充分な撹拌が必要となるのですが、施工業者がこのことを充分に把握していない場合、適切な塗布ができなくなるため、手慣れていない業者の場合にはリスクが高くなるといえるでしょう。
これらのデメリットについても、耐熱セラミックを用いる際に注意しておく必要があるでしょう。
まとめ
断熱セラミック・耐熱セラミックについてと、その効果、そして断熱セラミックを用いる際に注意するべきポイントについて解説をしました。エアコンを用いることそのものは悪いことではありませんが、その一方で、こうした断熱素材を使うことで、温度変化を抑えることができます。耐熱セラミックを用いようと考えているオーナーさんは、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。